3 塔 「塔」2025年7月号 十首 山行きて仏きざむによきほどの岩がありたり夕あかり差す 吉川宏志花よりも好き三月のあぢさゐの枯れ枝に吹くさみどりの芽が 花山多佳子洛中の水を象り花は咲く途切れて闇は灯るがごとし 永田淳くもり日の蓬莱橋の灯は消えず由なく疏水にひかりを落とす 黒... 2025.08.17 3 塔
2 かりん 「かりん」2025年7月号 思ひ出さねば人はどんどん淡くなる誰かのなかのわれの暮れ色 馬場あき子騎馬戦の開始を告げるピストルが撃ち抜くものは空のみであれ 貝澤駿一そこぢから自己を肯定する力強くなれよと烏賊刺しを噛む 山口真知子新入りの涙を拭こうとベテランの二歳児いそぐ... 2025.08.17 2 かりん
1 未来 「未来」2025年7月号 十首 花柄のはだらに落つる藤棚の下なる闇に木漏れ陽は揺る 大辻隆弘ふくかぜはかをりをはこび枯れ葦の茎うちあへるおとのやさしき 山田富士郎軽く泛び(水か船ぞこ圧してくるやうな夜な夜な考へ続く) 紀野恵我は我の枯野をつくる 軽く泛び<単純>を指し馳す... 2025.08.17 1 未来
3 塔 「塔」2025年6月号 十首 地に落ちしものは汚れて木のうえにまだ白き掌てのように咲きおり 吉川宏志撓む枝のかかぐる蕾それぞれにほどけはじめて白木蓮は 花山多佳子大航海時代にここより発つちし者思えば我の血も騒立てる 三井修朝六時下弦の月の南天にありて地球とともに陽を浴ぶ... 2025.08.17 3 塔
2 かりん 「かりん」2025年6月号 十首 硝子コップにひかりは宿りうごきをり人のゐぬ卓にほほゑみがある 川野里子回天はあまりに細い長生きをしすぎた大人が入れぬように 芳山三喜雄湖うみ深く地球の年表閉ぢ込めて七万年ここに水月湖あり 西村礼子鉛筆の芯懇ろに削りゆく木のかをり良し春の待た... 2025.08.17 2 かりん