2025-01

「塔」2025年1月号 十首

どんぐりの小枝を折りて持ちゆくに落とせり四方よもに弾けとびたり 花山多佳子栗茹でて冷めるを待てばおのづから齢深まる日日を諾ふ 干田智子海亀の巣穴の変化確かめて星と海とのはざまに座せり 河野正もうゐないひとに掛かつてくる電話かみふうせんのやう...
かりん

「かりん」2025年1月号 十首

年はじめ「人間憂ひの花ざかり」と古き世のうた謡ひ嘆かふ 馬場あき子いくすぢも飛行機雲のほぐれそめ蛇腹のごとく街の上へ覆ふ 三原豪之石鹸玉凍りゆく朝そのままに千年浮かぶを祝ひつづけむ 渡邊新月アカゲラの木をつつく音とわれが枝踏み折る音の距離を...
未来

「未来」2025年1月号 十首

京四条烏丸の雨せつなくて語り継ぎなむひとつだになし 大辻隆弘わが残す文字はおのが生きの身の知らぬ後のちの世見むと思へば 紀野恵海の日はたましい悼む日なりしにいつより海よあなたをいたむ 中原千絵子たましいの心理きか植物は日常的空間に軌跡を伸ば...